情報漏洩が起きたら誰が責任を負うのか?企業・社員が知っておくべき法的リスクと防止策

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    情報漏洩が起きたら誰が責任を負うのか?企業・社員が知っておくべき法的リスクと防止策
    作成日時 25/07/08 (09:37) View 32




    「情報漏洩が起きた場合、誰が責任を取るのか?」

    多くの企業がこの問いに明確な答えを持たないまま、日々膨大な顧客データや機密情報を取り扱っています。

     

    実際、メールの誤送信や書類の紛失をきっかけに、数千万円規模の損害賠償を請求されたり、企業の社会的信用が一夜にして失われたりするケースは後を絶ちません。さらに、委託先や退職した元社員による漏洩など、企業側で完全にコントロールできないリスクも存在します。もはや情報漏洩は、「いつ起きてもおかしくない」現実的な脅威となっています。

     

    本記事では、情報漏洩が発生した際に問われる三つの法的責任(民事・行政・刑事)をはじめ、社員・委託先・退職者といった立場ごとの責任の所在、さらに事前に備えておくべき社内体制や契約整備のポイントについて、具体的に解説します。

    情報漏洩が発生したときの「責任」の基本

    まずはあらためて、情報漏洩の定義と責任の種類を整理しましょう。

    情報漏洩の定義と発生しやすいケース

    情報漏洩とは、社内の機密情報や個人情報が、外部に不正に、あるいは意図せず流出してしまう状態のことです。漏洩の対象となるのは、顧客の氏名・住所・電話番号といった個人情報に加え、取引先との契約内容、価格表、営業戦略、設計図など、事業運営に不可欠なあらゆるデータが含まれます。

    つまり、外部に知られてはならない情報と認識される内容が第三者の手に渡った時点で、それは情報漏洩と見なされます。

     

    実際にどのような場面で漏洩が起きているのでしょうか。

    現場で多いのは、メールの宛先間違いや資料の誤送信です。たとえば、社外秘のプレゼン資料を社内メンバーに送るつもりが、似た名前の外部アドレスに送信してしまった場合、それだけで漏洩が発生します。

     

    さらに、故意による情報漏洩も看過できません。

    退職予定の社員が顧客情報を持ち出したり、社内システムへのアクセス権限を悪用して特定のファイルを外部に流出させたりするケースが該当します。最近では、SNSの利用に伴う情報漏洩も増加傾向にあります。

    一方で、社内の過失や不正行為とは無関係に、外部からのサイバー攻撃による情報漏洩も深刻です。

    漏洩時に問われる法的責任の種類

    情報漏洩が発生した際、責任の所在が曖昧なままでは、被害を受けた顧客や取引先への対応が遅れ、事態をさらに悪化させるおそれがあります。 

    漏洩の原因が過失であれ故意であれ、「情報の管理義務があったか」「漏洩によって具体的な損害が生じたか」といった観点から、主に三つの法的責任が問われます。

     

    責任の種類

    内容

    主な該当場面

    責任を問われる対象

    民事責任

    損害を金銭で賠償

    被害者からの損害賠償請求

    企業または関係者個人

    行政責任

    法令違反に対する行政処分

    個人情報保護法違反

    企業(法人)

    刑事責任

    故意または重大過失による違法行為

    情報の不正持ち出し・流出

    実行者個人、場合により管理者


     

    情報漏洩で企業はどこまで責任を負うのか?

    ここからは、委託先での漏洩や保険の補償範囲など、企業が直面する責任の所在について、具体的に見ていきましょう。

    委託先・グループ会社で漏洩が起きた場合

    企業活動において、業務の一部を外部に委託することは一般的です。

    たとえば、顧客データをクラウドベンダーに預けたり、給与計算を外部の会計事務所に任せたりするケースは少なくありません。こうした委託業務で情報漏洩が発生した場合、「それは委託先の責任ではないか」と考える人もいるでしょう。

     

    しかし、現実にはそのような単純な切り分けは通用しません。

    重要なのは、委託元に課される安全管理措置義です。これは、業務を外部に委ねた場合でも、委託先に対して適切な監督や管理を行う責任が委託元にあるという考え方です。個人情報保護法をはじめとする各種ガイドラインでも、委託先が適切な体制で情報を取り扱っているかどうかを定期的に確認し、必要に応じて改善を求める責任は、情報の主体である企業側にあると明記されています。

     

    たとえば、グループ会社の1社が不正アクセスを受けて顧客情報を漏洩した場合、直接の原因はその会社にあるとしても、親会社の監督体制は適切だったのかといった点が問われます。さらに、委託契約に秘密保持や安全管理措置に関する条項が盛り込まれていなければ、契約上の不備として企業側の責任がより厳しく追及されることになるでしょう

     

    このように、情報の取り扱いを他社に任せている以上、知らなかったでは済まされません。委託契約を締結する際には、管理体制や遵守すべきルールを明文化することに加え、定期的な監査やヒアリングを通じて、実態の確認を怠らない姿勢が企業には求められます。

    保険で補償される範囲と限界

    情報漏洩賠償責任保険とは、漏洩による損害賠償や被害者への通知・謝罪、信頼回復のための広告費用などを補償する保険で、サイバー保険の一種として位置づけられます。 

    ただし、この保険の補償範囲を過信してはいけません。適用されるのは、あくまで「偶発的な事故」としての情報漏洩に限られます。たとえば、従業員が故意に顧客リストを持ち出して売却したような場合、重大なコンプライアンス違反とみなされ、保険の対象外となる可能性が高くなります。また、契約時点で情報管理体制に著しい不備があると、既知のリスクとして補償から除外されることもあるのです。

     

    補償対象となる損害の範囲にも制限があります。

    基本的に、補償されるのは法律上の賠償責任に限られており、信用失墜による長期的な売上減少や株価下落、取引先の離反といった見えにくい損失は対象外です。つまり、金銭的な損失はある程度カバーされても、企業の信頼やブランド価値の毀損までは補えません。


    社員による情報漏洩時の「責任」はどうなる?

    ここからは、社員が情報漏洩に関与した場合に、どこまで責任を問えるのか、そして企業としてどのような備えが必要なのかを、具体的に解説していきます。

    社員に損害賠償請求できるのか?

    日本の労働法において、企業と社員の関係は使用者と労働者という枠組みで構成されています。

    原則として、労働者が業務中に起こした過失については、全額を本人に負担させることはできないとするのが一般的な解釈です。これは労働契約法第7条や民法第415条に基づいており、企業には指導・監督すべき立場としての責任もあるためです。

     

    そのため、軽微なミスや通常の業務範囲内で想定される過失であれば、企業に損害が生じても、社員個人に損害賠償を求めるのは困難とされます。では、どのようなケースで損害賠償請求が認められるのでしょうか。ポイントとなるのは故意または重大な過失の有無です。

    たとえば、意図的に社外へ機密情報を持ち出し、それによって深刻な損害が生じた場合は、民事責任を問えるだけでなく、刑事告訴の対象になる可能性もあります。

     

    もっとも、実際に損害賠償請求を行うことは、企業にとっても大きな負担となりえます。社内の緊張感が高まり、離職や士気の低下を招く懸念もあるためです。だからこそ、企業には、社員が過ちを犯さないための教育体制の整備や、万が一ミスが起きても被害を最小限に抑える仕組みづくりが求められます。

    懲戒処分・解雇は可能か?

    懲戒処分や解雇を行うには、就業規則に明確な根拠が必要です。

    「社内の機密情報を漏洩した場合には懲戒処分の対象とする」といった規定が事前に整備・周知されていなければ、事後的に処分を行うことはできません。労働契約法や過去の判例においても、処分の予見可能性が重視されており、曖昧な規定や口頭での注意しか行われていなかった場合、処分そのものが無効と判断されるリスクがあります。

     

    たとえば、業務資料を誤って個人のメールアドレスに送信してしまったようなケースでは、過失として注意指導で済む可能性が高いでしょう。一方、機密情報を無断でUSBにコピーして持ち帰ったり、SNS上に業務のやり取りを投稿したりした場合は、懲戒処分の対象となる可能性が一気に高まります。

     

    これが繰り返しの違反であったり、ルールの存在を知りながら意図的に破ったと判断される場合には、懲戒解雇も法的に認められる可能性があります。

     

    つまり、懲戒処分が可能かどうかは、行為の悪質性と社内規程の整備状況によって左右されます。たとえ明らかな過失があっても、それを裏付けるルールや記録が不十分であれば、企業として強い措置を取ることは難しくなります。

    退職後の元社員による漏洩への対応

    近年、退職後の元社員による情報漏洩が深刻な問題として浮上しています。

    退職時に持ち出されたUSBメモリや、業務で使っていた個人端末、あるいは記憶に残っていた顧客情報が、競合他社やSNSを通じて流出するケースがあります。こうした漏洩は、企業にとって甚大な損失につながるおそれがあります。

     

    では、退職後に漏洩が発覚した場合、企業はどこまで対応できるのでしょうか。

    まず鍵となるのが、「秘密保持契約(NDA)」の有無です。雇用時や退職時にNDAを締結していれば、退職後であっても情報の使用や開示は法的に禁止されており、違反があった場合には損害賠償を請求することが可能です。NDAがあることで、企業は法的根拠を持って対応できるうえ、一定の抑止効果も期待できます。

     

    一方、秘密保持契約が未整備の場合、対応は格段に難しくなります。仮に元社員が顧客情報を競合に提供していたとしても、それが違法行為であると立証するには高いハードルがあります。情報が本人の手元に残っていた証拠や、第三者への提供を示す明確な事実がなければ、民事・刑事の両面で追及するのは困難です。退職後に漏洩が発覚した場合、企業の対応可能な選択肢は著しく限定されてしまいます。

     

    加えて、技術的な管理の甘さも漏洩リスクを高めます。

    たとえば、退職に際し社用メールアドレスは削除したものの、Google DriveやSlackなどのクラウドサービスのアカウントが有効なまま残されていた場合、退職後も情報へのアクセスが可能となります。このようなログアウトの不備やアカウント停止の遅れも、退職者による漏洩を招く主要な原因の一つです。

     

    情報漏洩を防ぐために企業ができること

    ここでは、情報漏えいを防ぐための対策を見ていきましょう。

    社内の情報管理体制を整える

    最も基本的でありながら、最も効果的な対策は、社内の情報管理体制を整えることです。

    多くの情報漏洩は、外部からのハッキングではなく、内部の不備や油断によって発生しています。裏を返せば、管理体制を徹底すれば、その多くは未然に防ぐことが可能です。

     

    まず取り組むべきは、情報へのアクセス権限の見直しです。

    すべての社員がすべてのデータにアクセスできる状態は、管理面でもセキュリティ面でも極めて危険と言えます。役職や業務内容に応じてアクセス範囲を細分化し、必要最低限の情報のみにアクセスできる仕組みに整えましょう。 

    あわせて、アクセスログを常時記録し、不審な操作や時間帯の利用があった場合には即座にアラートが出る仕組みを導入すれば、万が一の際の追跡や証拠保全にも有効です。 

    端末やネットワークの利用ルールの整備

    端末やネットワークの利用ルールの整備も重要です。

    たとえば、社外から業務システムにアクセスする際はVPN接続を必須とし、社用端末にはセキュリティソフトを標準搭載する。また、USBメモリや個人のクラウドストレージへのデータ保存を原則禁止とすることで、物理的・論理的な漏洩経路を遮断できます。こうした対策は、導入そのものよりも、日常業務の常識として定着させることが重要です。 

    社員教育

    いかに技術的な対策を講じても、最終的に情報を扱うのは「人」である以上、その意識と行動がセキュリティの要となります。

    社員一人ひとりが情報の重要性を理解し、慎重に取り扱う姿勢を持つことが欠かせません。うっかりミスを防ぐための研修だけでなく、万が一漏洩が発生した際にどう報告し、どう対応するかを明示した行動マニュアルの整備と緊急時対応教育も不可欠です。 

    従業員との契約・規程を見直す

    情報漏洩を防ぐうえで、技術的な対策や社員教育と並んで重要なのが、契約および社内規程の整備です。

    どれほど厳格な情報管理ルールを運用していても、それが文書として明文化され、社員に周知されていなければ、いざという時に責任を問うのは困難でしょう。つまり、ルールとそれを支える法的根拠が不可欠だということです。

     

    まず注目すべきは、雇用契約書の記載内容です。多くの企業では、一般的な労働条件に加え、業務上知り得た情報の取扱いに関する条項を盛り込んでいます。しかし、それだけでは不十分な場合もあります。とくに情報漏洩のリスクが高い部門や、顧客情報を取り扱う社員に対しては、別途「秘密保持契約(NDA)」を締結することが望まれます。この契約によって、在職中はもちろん、退職後も情報の持ち出しや第三者への提供を禁じることができます。

     

    加えて、就業規則の整備も欠かせません。

    情報漏洩に関する懲戒処分の基準や対応方針を明文化しておくことで、企業は処分の正当性を法的に主張しやすくなります。

    たとえば、「業務上知り得た顧客情報を第三者に提供した場合は懲戒解雇とする」といった明確な記載があれば、万が一の際にも迅速かつ適正な対応が可能です。逆に、表現が曖昧だったり規程が未整備であったりすると、社内外からの批判や法的トラブルを招き、企業の信頼を損ねるおそれがあります。

    情報漏洩と責任に関するよくある質問

    最後に情報漏洩と責任に関するよくある質問にお答えします。 

    Q1:情報漏洩が発生した場合、責任の所在は誰にありますか?

    情報の種類や漏洩経路によって異なりますが、基本的には情報の管理主体である企業が責任を負うのが原則です。委託先でミスが起きた場合でも、委託元に管理責任があると判断されるケースが多く、個人よりも法人が追及されやすいのが実情です。 

    Q2:情報漏洩は具体的にどのような問題を引き起こしますか?

    顧客や取引先からの信頼喪失に加え、損害賠償、行政指導、社会的信用の低下、株価の下落、取引停止など、広範な影響が生じます。 

    Q3:情報漏洩の主な原因には何がありますか?

    ヒューマンエラー(誤送信・紛失)、内部不正(意図的な情報持ち出し)、外部攻撃(マルウェア・フィッシング)、クラウドの設定ミスなどが主な要因です。多くの場合、これらが複合的に絡み合って発生します。 

    Q4:個人情報が漏洩した場合、企業や当事者にどのような影響がありますか?

    被害者への謝罪や補償対応に加え、行政機関への報告義務、メディア報道による信用低下、業務停止、システム再構築など、経済的・運営的に多大な負担が発生します。 

    Q5:情報漏洩に伴う損害賠償の金額はどの程度ですか?

    漏洩件数や情報の種類により異なりますが、数百万円から数億円に及ぶ賠償命令が下された例もあります。とくに個人情報や医療情報など、機微性の高いデータが含まれる場合は、賠償額が高額化する傾向があります。 

    Q6:SNS経由で情報漏洩が発生した場合、どのような処分が科されますか?

    就業規則や秘密保持契約に違反していた場合は懲戒処分の対象となり、重大な場合は懲戒解雇も検討されます。さらに、故意に情報を拡散した場合は、不正競争防止法や個人情報保護法違反として刑事責任を問われる可能性もあります。


    情報漏洩の「責任」を問われる前に適切な準備を行いましょう


    記事でこれまで見てきたとおり、情報漏洩の責任は複数のレイヤーにまたがります。

    企業は法的・社会的に最終的な責任を負う立場にあり、社員個人も重大な過失や違反があれば、損害賠償や懲戒処分の対象となります。さらに、外部委託先や退職後の元社員による漏洩といった、管理が難しいリスクも現実には存在します。

    とはいえ、これらのリスクは事前の対策によって大幅に低減できます。たとえば、アクセス権限の適切な設定、社員教育の継続的な実施、秘密保持契約の締結といった多面的な対策が必要です。近年では、情報漏洩と同時に、顧客情報や機密データがダークウェブ上で売買されるケースも増えています。社内でどれだけ対策を講じても、外部攻撃や内部不正を完全に防ぐことは困難です。そのため、漏洩「後」の兆候を早期に察知する体制づくりも不可欠です。

     

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